左に目が寄ったカレイが見つかったって昨日から話題になってますね。個人的な感覚としては珍しい現象の中では彗星を観測できます程度の珍しさなのですが定説が覆るねと思っちゃう人もいるようです。(先に奇形という発想でてこないのかな…)
一般に「左ヒラメに右カレイ」と言われているようにカレイかヒラメかは目の位置で見分けることが普通です。奇形以外の例外ですとヌマガレイという種類が主に左目よりのカレイとして知られています。またカレイはイソメやゴカイといった虫を主に食べるため普通口が小さくて、ヒラメは生きてる魚などを主に食べるので口が大きいという違いがあります。目の位置が通常と違うカレイやヒラメが釣れた場合はむしろ口の大きさで「あ、これヒラメ/カレイじゃなくてカレイ/ヒラメだ」となるんじゃないかと思います。
でも口が大きいカレイっていうのもやっぱりいて、ハリバットの名で知られるオヒョウという超大型のカレイ(なんと2メートル超という個体もいてヒラメより大きいです)はヒラメのように生きた魚を食べています。
もしこのオヒョウの目が左右逆だったら、さらに適当な大きさだった場合、素人には見分けることはできるのでしょうか?(笑)
ここまでは釣り人たる僕目線の話。次から学術的な話。
カレイとヒラメ、遺伝子上の区別を僕は知りませんが、学術的な区別の方法としては交差している視神経、右目と左目どっちの神経が上かで判断するようです。ヒラメでは右目から出ている視神経が上になり、カレイでは左目から出ている視神経が上になります。
目が左によってるカレイとしてヌマガレイという名前を出しましたが、こいつは日本では左ばかりですが地域によっては半分は普通のカレイと同じように右に寄っています。目が右にある個体はちゃんとカレイ型の視神経交叉をしているようですが日本産のように左にある個体はカレイともヒラメとも違う形で交叉しているようです。この分だと目の位置が逆の他のカレイも同じなんでしょうね。

(図は
ここを基に作成)
で、今回ヌマガレイの分布を調べていて初めて知ったのですが、太平洋の海岸線を日本から時計回りに進むにつれて比率が前述に近づいていくようです。おもしろい。
ここで原始的なカレイであるというボウズガレイという種類に目を向けてみます。このカレイ、カレイという名が付いてるけど口はヒラメのようだし、目は左についてるし。と思ったら右に目がついてるのもいる。という具合に左右定まっていません。
写真はこちら面白いことに目の位置を決定する遺伝子はヒトの心臓の位置を決める遺伝子と同じ遺伝子です。またこの遺伝子を働かないようにすると、目の位置が正常なもの、左右逆のものに加えて左右対称、つまり普通の魚のように配置した個体も発生するようです。となると、ボウズガレイではこの遺伝子はどのように制御されているんでしょうか。
ヒラメとカレイのお話でした。
そういえばカレイとヒラメの見分け方に「高いのがヒラメ、安いのがカレイ」というネタは結構見かけますが、マツカワカレイやナメタガレイはヒラメに匹敵あるいはそれ以上の価格で取引されることがあるようです。ちなみにブランド化してる大分の城下カレイは種類としてはマコガレイという一般的な種類です。関アジ、関サバみたいなものですね。
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昨日から話題になってる左目のカレイ(ソウハチガレイらしいです)で、左目カレイや右目ヒラメが気になるヒトは「側面逆位」で検索していただけるといろいろな左右反転したカレイの写真が見られます。あとヒラメじゃ左右逆になるのはかなり普通の事みたいですね。
カレイやヒラメのその他の奇形としては有名なところで見かけ上の表裏が無くなるというものがあります。本来は白い腹部の方にまで背部と同じような模様が現れてくるもので養殖ヒラメに多いようです。
追記)教えてもらったのですが、腹部まで鱗があるなんていうヒラメが見つかってたようです。
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/349444 これは初耳。